第6話 錦鯉

今日は高松の池で出会ったちょっと不思議なおじさんをご紹介します。

日本さくら名所100選に指定される高松の池は、お花見の時期になると、桜&池&岩手山が生み出す名景を写真に収めようと、多くのアマチュアカメラマンが訪れます。(中にはプロもいます)
ある日、そういう人たちに紛れて、桜には目もくれず、ひたすら池の水面にカメラを向けているおじさんに遭遇しました。

不思議に思って何を撮っているのかと声をかけると、おじさんはカバンから一冊のアルバムを取り出しました。
そこには色とりどりの錦鯉の写真がきれいにファイルされていました。(注:高松の池には、おそらく飼いきれなくなったペットが放されたのでしょう、錦鯉がたくさん泳いでいます)

よく見るとそれらは全部違う鯉で、一匹一匹の写真の下に「ケイコ」とか「マナミ」とか「ユキ」とか女性の名前が記されています。
これ何ですか?不思議に思って尋ねると、おじさん曰く「池の錦鯉をぜんぶ写真に撮って、今まで出会った女性の名前をつけているんだ。」とのこと。
ちょうどその時、私たちの目の前に一匹の緋鯉が泳いできました。
「彼女はアカネさん」
知り合いでも紹介するようにおじさんは指差しました。

ちょっと面食らいましたが、とても面白いので、おじさんにカメラの前でこの話をしてもらえないかとお願いしました。
でもおじさんは照れながら「俺は出るのはいいいよ」とやんわり出演を断りました。
その後、撮影中に池のあちこちで何度もお会いし、そのたびに出演をお願いしましたが、結局出てはくれませんでした。

1年後、映画が地元盛岡の映画館で上映されることになりました。
それを知ったおじさんは、私の知らないところで積極的に映画の宣伝活動をしてくれていました。
たかまつ手づくり映画祭実行委員会の本部であり、宣伝活動の拠点であるカフェカムオンから映画のポスターやチラシをたくさん預かり受け、自分の交友関係(おじさんは顔が広いのです)をフルに活用し、盛岡市内や周辺の滝沢市のお店や会社などに配り歩いてくれたのです。

先週盛岡に行った際に、おじさんと再会し、そのことを知りました。
おじさんは自分の素性はあまり明かしてはくれません。
だからどういう人なのかよく解りません。

でも高松の池に行けば、不思議といつも顔を合わせます。
おじさん、どうもありがとうございます。
また鯉の写真、見せてください。

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