第4話 モニュメント

今回は映画のタイトルにもなっている高松の池周辺のモニュメントについてお話します。

ちょうど一年前、高松の池で映画を撮ろうと決めて、私は初めて池の周りを隈なく歩いてみました。
その時まず印象に残ったのは、池の周囲に数多くの記念碑や銅像などのモニュメントが建てられていたことです。
しかもそれらのほとんどが、何らかの形で戦争に関係しているもので、この点にとても興味を惹かれました。

映画には、戦後50年を期に核兵器廃絶を誓い建てられた「望み」という家族の銅像と、シベリア抑留者を慰霊する「ひまわり」と名付けられた少女の銅像が登場します。
そして、それらの像を前に様々な人が今に繋がる歴史への思いを語ります。

このほかにも印象的なモニュメントがありました。

高松の池の南側にある小高い丘に、銅像のない台座だけが残された不思議な物体があります。
ここにはかつて、横川省三という日露戦争の時に英雄と奉られた人物の銅像が建っていました。
横川省三は民間人でありながら、様々な経緯を経て諜報活動に身を挺し、やがてはロシア軍に捕まり処刑された、いわば郷土の偉人です。

彼の死後、その功績を称え、岩手山と高松の池を望む丘の上に記念像が建てられました。
しかし、その数十年後に起こった太平洋戦争の最中、兵器や弾丸を製造するための金属供出により、銅像は撤去されました。
戦争の英雄として偶像化された横川氏は、銅像にされてなお戦火に身を捧げなければならなかったのです。皮肉な話です。

今ではほとんど訪れる人もいない丘の上に、ひっそりと台座だけが残る光景は、とても寂しげで奇妙な空間を作り出しています。

当初私は、このエピソードを映画で描こうと考えていました。
しかし結果的には描くことをやめてしまいました。
それは戦争を過去の出来事として語れなくなってしまう出会いがあったからです。
夜明け前の池で偶然出会ったおじいさんの話を、ぜひ映画でご覧いただければと思います。

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第5話 名物料理
第3話 高松の桜
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